2023.04.17
靴づくり編6_グッドイヤー製法その⑤ コバ仕上げ
グッドイヤー編の最終回はコバや底面の仕上げ作業です。
コバには二回インクを塗りますが、最初に使うのは染料系の素材に浸透するインクです。
コバに飾りを付ける〈目付け〉という作業です。
ローラーを熱してコバに押し付け
コバに飾りが入りました。
艶のある仕上がりにする為に熱ゴテで表面を平滑にします。
形状の違うコテに替えて、ヒール周りも同様に。
バフ機でコバを磨いて表面をさらにキメ細かくし
二回目のインクは素材の表面に残って、艶が出るタイプです。
底面の仕上げ
上の写真は表面を削っている所ですが、ここで使うサンドペーパーは空気で膨らませる構造になっています。
薄く表面だけを削る為に、この様な物を使うのですが、そもそもなぜ表面を削るのかについては、以下二つの理由があります。
① 後で塗るインクが染み込み易くなる
② 革の表面を滑らかにする
柔らかいサンドペーパーにする理由は、三つです。
① 底面には丸みがあるので、それに沿って作業できる様に
② 当たりの強いもので表面を深く削ってしまうと、繊維の粗い層が出て、美しい仕上がりにならないので
③ 繊維の粗い層は、摩耗しやすいので、表面の層〈因みにこの層を銀面と言いますが革については、また別の機会に〉を残す方が良いから
インクを塗って
毛バフで磨きます
底面の仕上げには、こんなバリエーションも
底周りが仕上がりました。
この様に底を後加工する靴には作り手の意図と言いますか、感性と言いますか、そんなものが出やすい様に思います。 ダシ縫いのピッチや、コバの出方や、インクの艶感などにです。
補助的な工程については割愛したのですが、それでも長くなってしまいました。
グッドイヤー編を最後まで見て頂き、有難うございます。