2022.01.26
春日山原始林②
皆様、こんにちは
前回ご紹介した「春日山原始林」ですが、様々な問題で衰退の恐れがあるというので、実際に原始林を訪れお話をお伺いしてきました。
今回案内頂くのは、「春日山原始林を未来へつなぐ会」の杉山さん
2014年に会が発足し、奈良県が行う保全活動をサポートする活動をされています。
まず待ち合わせ場所の春日大社につくと、早速、鹿が出迎えてくれます。
さて、奈良と言えば鹿が有名ですが、古くから「神鹿」として大切に保護されてきました。
春日大社の神様の内のお一人(たけみかづちのみこと)が鹿島神社(茨城)から白鹿に乗ってやってきて、御蓋山に降り立ったという神話が起源となり、神の使いと言い伝えられてきました。
原始林、奈良公園一帯で約1200頭もの野生の鹿が住んでいるようです。
今回は、春日山遊歩道から若草山山頂を目指し、往復約4キロのコースを案内してもらいました。
春日山原始林は、常緑の広葉樹が主体の森(照葉樹林という)で、平安時代に狩猟や伐採が禁じられた為に比較的まとまった面積で照葉樹の自然林が残っている貴重な森です。
中には、樹齢数百年の巨樹や、つる性植物、シダ植物など原生的な状態で見ることが出来ます。
しかし今、様々な問題に直面しています。大きくは3つあります。
1つ目は「ナラ枯れ」といって、病原菌が蔓延し木か枯れてしまう症状が拡大しています。
2つ目は、鹿が増え過ぎて、下草や幼い木を食べつくしてしまい、次の世代を担う若い木が生長出来ない環境になっています。
下の写真のように鹿が入らないよう保護柵を設けることによって、次の世代の木が育つように対策が取られています。
3つ目は、外来種であるナンキンハゼや、春日大社のご神木でもあるナギの木が、鹿が嫌って食べないことから原始林内で範囲を広げ、いずれは原始林を覆いつくすのではないかと危惧されています。
上の写真は、生育範囲を拡大するナギの木
「春日山原始林を未来へつなぐ会」の杉山さんは、シイやカシなどの常緑広葉樹から落ちるドングリは、 鹿にとっても大事な食糧ですが、次の世代の木となり原始林をつないでいく上でも大切なのです。と教えてくれました。
今、県と連携して原始林を守り育み、未来へつなぐ活動をされています。
様々な課題に直面し衰退の危機がある原始林ですが、千数百年にわたって大切に守られてきました。
世界にも誇れる貴重な自然遺産を未来へと残していく活動に、私達も協力させて頂くことになりました。
「春日山原始林を未来へつなぐ会」
照葉樹林は、下から見ると、枝葉が綺麗に空を覆っています。
春や秋のハイキングには絶好のスポットであり、山頂につくと、若草山からの眺望が広がっています。
これからも春日山原始林の保全の内容や、奈良の古代史にまつわる話などもご紹介させて頂くと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。