2021.10.13
靴づくり編2_製甲(縫製)
今回は、製甲(縫製)についてご紹介したいと思います。
製甲とは、あらかじめ裁断、加工した革のパーツを縫い合わせ、
アッパーと呼ばれる靴の上部分を製造する工程です。
単にパーツをつなぎ合わせる作業と言えばそれに違いないのですが、
平面の革をラスト(木型)通りの立体に組み立てるには、製甲師とよばれる職人による工程を経て出来上がります。
それでは、順番にご説明します。
〈漉き〉
まず裁断した革は、あらかじめ貼り込みしろや折り込みする部分の厚みを専用の機械で適切に漉き落とします。
こうすることで革と革を重ねた時に出来る厚みや段差を抑え表面がきれいにまとまります。
〈線引き〉
革に型紙を当て、貼り合わせ位置などの目印をつけます。
〈甲革の装飾・穴あけ〉
デザインによりますが、甲に穴飾りがあるものは、ポンチで穴をあけます。
こちらのデザインは、モカ縫いをしているところです。
〈補強〉
特に力が掛かる部分には、裏側に補強材を貼ります。
天然の革は伸縮性があり、革が伸びたり広がったりするのを防ぐ為です。
〈アイレットの穴あけ〉
紐を通す穴を、ポンチであけます。
〈糊付け〉
刷毛で糊を塗ります。
〈貼り込み・仮止め〉
糊付けしたパーツを貼り合わせます。
この時、線引きした線に沿って貼っていきます。
〈ミシン掛け〉
仮止めした革のパーツをミシン掛けします。
使用するミシンは、立体のものが縫いやすい構造になっているポストミシンと呼ばれるものです。 仕様によって、糸の種類、針の大きさ、ピッチの荒さなどを使い分けます。
〈マチキリ〉
裏革の余分な部分を、弊社ではマチキリと呼んでいる道具を使って切り落とします。
これらの工程を経て、型紙通りに縫い合わされたアッパーは、ラストに吊り込む前から少し立体的になります。
この様に製甲だけでも、様々な工程があるのがお分かりいただけましたでしょうか。
次回は、ミシンについてお話ししたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。