2023.02.28
靴づくり編7_チャン
チャンは松ヤニが主成分で昔から靴づくりと縁が深いものです。
今回は麻糸に含侵させるところをご紹介したいと思います。
含侵前の糸
これと油を容器に入れ、加熱して溶かします。
工場に松ヤニの嫌じゃない(個人的には)匂いが広がります。
溶けたチャンの中を糸が通って染み込む
浸み込んだ糸をボビンに巻きとる。なかなか素朴で明快なしくみです。
何日分かまとめて。
チャンを含侵させることで糸の強度が高まり、糸締まりが良くなります。
その効果は絶大で、本底が摩耗して仮に下糸が擦り切れても縫ったものがほどける事はありません。
それから、なぜチャンと呼ばれるのかについては、情報が少ない中、
松ヤニには防腐効果がある為、様々な工芸の世界で重宝され「マツヤニ」と呼び捨てにするのが憚られるほど身近な物だったの
で、「ちゃん」付けにしていた事に由来するという説があります。
職人が「マツヤニちゃん」と呼んでいる姿は個人的に想像しにくいのですが、一応紹介しておきます。